「代理人の意見を述べる場ではない」製薬会社代理人が原告団弁護士へ指摘、紛糾したHPVワクチン訴訟

継続して取材を行っているHPVワクチン訴訟。今回は4月14日に福岡地裁で行われた口頭弁論(製薬会社申請専門家証人への反対尋問等)の閉廷後の記者会見レポートを中心に記したい。法廷内では、「異議あり!」が飛び交い、紛糾する場面が多々見られた。また会見では原告側と被告製薬会社側の評価が真逆であることも浮き彫りとなった。
鈴木エイト 2025.04.20
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脳血流SPECT解析の専門家への反対尋問

 この日の傍聴券配布は64枚。49人が並び無抽選となり全員が傍聴できた。遅れてきた一人も傍聴できたようで、一般傍聴は50人。特別傍聴券は原告側16席、被告側6席。今回から裁判官が交代となった。

 被告側申請専門家証人は核医学の専門家、脳血流SPECT画像解析の第一人者である畑澤順大阪大学名誉教授。

 前回1月27日の主尋問は、筆者はフジテレビの会見取材と重なり、傍聴できなかった。

 主尋問の傍聴記と今回の反対尋問の傍聴記は産婦人科専門医・医学博士のたぬきち氏がX(旧Twitter)にUPされているので参照してもらいたい。

《たぬきち@Tanuk_Ichi

★補足的に傍聴メモから。

 反対尋問を行う原告側代理人は、HPVワクチン薬害訴訟九州弁護団代表の小林洋二弁護士の指揮のもと、午前に岡田弁護士、午後に中西弁護士、前田弁護士が担当、合計3時間の中でおこなわれた。

Q:ブレインフォグについて

畑澤証人

・「ブレインフォグ」自体が医学的に定義された言葉ではないと感じた

Q:近年、新型コロナ後遺症の診断において脳SPECTは広く利用されているのでは?

畑澤証人

・一般的には行われていない

・原告側の平井論文に関する質問と回答の際、「誤導です」とGSK代理人から異議

・原告代理人前田弁護士「視床基準、血流量が多いように見える、赤く見える」

畑澤証人「そう理解するのは間違えている」

原告代理人中西弁護士「私が訊いているのは赤く見えるかということ」

GSK代理人から一斉に異議が入る

「単に赤く見えるかと訊いているのか、医学的科学的にどうだと訊いているのか」

・畑澤証人の返答中に原告代理人が遮る場面が多々見られ、GSK代理人から途中で遮らないよう異議が入る。

GSK代理人小森悠吾弁護による再主尋問と原告代理人中西弁護士による再反対尋問。

中西弁護士が「私はこう思うが」と発言した際、小森弁護士が「代理人の意見を述べる場ではないです」と指摘。

 裁判官からいつくか質問があり閉廷。

記者会見(GSK代理人、MSD代理人、原告弁護団)

 閉廷後、司法記者クラブ室で製薬会社2社と原告弁護団が会見を開いた。福岡地裁は会見室があるわけではなく、記者室の中心に置かれたソファに座る形で会見が行われる。

 以下、会見での説明、質疑応答を忠実に再現した。GSK代理人、MSD代理人と原告弁護団による畑澤証人への評価が真逆であることに注目してもらいたい。

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