2025年2月3日、HPVワクチン訴訟(専門家証人反対尋問)会見レポート

継続取材を行っているHPVワクチン訴訟。2月3日に行われた被告側申請専門家証人の反対尋問と閉廷後の原告代理人、製薬会社2社の記者会見レポートです。
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鈴木エイト 2025.02.14
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 2月3日(月)に行われたHPVワクチン訴訟の口頭弁論の傍聴と会見の取材。この日は、被告側申請専門家証人の近畿大学の角田郁生教授(神経免疫学、神経ウイルス学)の反対尋問の期日。

原告支援者のリレートーク

 東京地裁前には原告の支援者が集い、恒例のリレートークが行われていました。

 リレートークでは、HPVワクチン東京訴訟支援ネットワーク代表世話人の隈本邦彦氏(元NHK、江戸川大学教授、薬害オンブスパースン会議メンバー)が、HPVワクチンの積極的勧奨再開後の状況について「10年前と同じ状況が今起きている。しかも副反応検討部会の先生方は特段の懸念はないと言ってそのままワクチンを続けているという現状です。これを止めるためには、皆さん、裁判に勝つしかありません。ぜひ皆さんの力で理解の輪を広げていって、この裁判に勝利しましょう」と発言。

紛糾する法廷内

 傍聴抽選での当選枚数は68枚、50人近くが並びましたが68人に届かず、全員が傍聴可能になりました。

 反対尋問が始まった法廷内では、「異議あり!」「遮らないでください!「誤導ですよ!」などと製薬会社の代理人から度々指摘が入り、国の代理人も「尋問妨害だ!」と声を荒らげる場面もあり、紛糾しました。

 原告代理人と角田証人とのやり取りの詳細については傍聴された産婦人科専門医で医学博士のたぬきち氏(@Tanuk_Ichi)が詳細なレポートをX(旧Twitter)に投稿されているので、参照していただければと思います。

 たぬきち氏は予てからHPVワクチンに関する報道を行ってきたメディア、そして原告弁護団へ辛辣な言葉で苦言を呈されています。多くの臨床現場で経験されたことからの苦言だと理解しています。

 私も報道に身を置く立場として真摯に受け止めつつ、客観的に報じていきたいと思っています。

司法記者クラブでの記者会見

 閉廷後の記者会見は、裁判所内司法記者クラブ会見室にてMSD→原告→GSKの順番で行われました。

・MSD代理人の会見

弘中聡浩弁護士

「HPVワクチンに関しましては、東京地方裁判所、大阪地方裁判所、名古屋地方裁判所、福岡地方裁判所、4つの地方裁判所で2016年7月に提訴されて以来、審理が続けられてきました。2023年5月から12月にかけて原告側の専門家証人の尋問。2024年1月から2024年9月まで原告本人の尋問が行われました。そして2024年10月から被告側の専門家証人という新しい審理の段階に入っています」

「本日は、この東京地方裁判所で11月18日に被告側の専門家証人として主尋問で証言された近畿大学教授の角田郁生医師が、原告側の反対尋問にお答えになりました。角田医師は、神経免疫学、神経ウイルス学の立場から原告らの主張、すなわち〝HPVワクチンの接種によって原告らが主張する多様な症状が一種の免疫的な疾患として生じた〟という主張に医学の立場から根拠がないということ、具体的には原告らが主張する〝HPVワクチンによる免疫寛容の破綻、あるいは分子相同性、そういった機序によって多様な症状が生じた〟という説明には理由がないことについて説明されました。我々被告としては、角田教授の説明から、本件で原告らが訴えている症状がHPVワクチンの接種とは関係がないということを立証できたと考えております」

「MSDは原告の方々が訴えておられる症状は、世界で数百万人を対象として25年以上にわたって行われてきた数多くの信頼性のある研究によって、HPVワクチンとの関連性はないと考えています。世界中の規制当局と保健期間は、HPVワクチンの安全性と有効性を認めています」

「主に裁判所の要請を通じて病院から取得した原告の方々の医療記録(カルテ)には、原告の方々がHPVワクチンとは関係がない心因性機能性疾患などによって痛みや運動障害などの多様な症状に苦しんでいらっしゃることが記載されています。原告の方々が訴えていらっしゃる痛みや運動障害などの多様な症状は、HPVワクチンが世界で初めて発売された2006年よりもはるか前から、特に思春期の若い方に見られる疾患として知られたものであり、数多くの医学文献に説明がされています。実際、HPVワクチンの接種歴のない方においても、HPVワクチン接種後に報告されている症状と同様の多様な症状を有する方が一定数存在したことが明らかとなっています。原告の方々や報道関係者の皆さんにご理解いただきたい点は、HPVワクチンとは関係がない心因性その他の要因が重篤な身体的な症状をもたらし得るということです。また、原告の方の中には、接種後一年以上経ってから症状を訴えておられる方もいらっしゃいます。このように、かなり長い時間が経ってから訴えておられる症状はもちろんのことですが、時間的に近い時期に訴えておられる症状についても先程来申し上げております通り、HPVワクチン接種と結びつける科学的・医学的に信頼できる根拠はありません。実際、原告の方々を診察し、〝古くから知られている既存の疾患である〟と正しい診察をしていらっしゃる医師も複数いらっしゃいます。しかし、原告の方々は、〝これらの症状はHPVワクチンの副反応によるものだ〟と主張されている医師のもとで誤った診断を受け、中には侵襲性の高い危険を伴う治療、医学的効果が証明されていない治療を受けておられる方もいらっしゃいます。MSDは原告の方々が正しく診断され、適切な治療を受けて早く回復されることを非常に重要に考えております」

「日本では毎年約1万人の女性が新たに子宮頸がんと診断され、年間約3000人の女性が亡くなっています。MSDはHPVワクチン接種により、HPV感染から女性を守ることで子宮頸癌患者の数を減らすことができると考えています。実際、スウェーデンやデンマークなど海外ではHPVワクチン導入後に子宮頸がんが減ってきていることが示されており、HPVワクチンの接種率が約80%と高いオーストラリアでは、子宮頸がんは2028年には制圧される、すなわち10万人当たりの罹患者数が4人未満になると推計されています。女性を子宮頸がんから守るには、子宮頸がん検診とともにHPVワクチン接種が重要な役割を果たします。MSDは、本件は信頼できる科学的エビデンスに基づいて正しく判断されるべきであると考えています」

「東京地裁では、次回は2月10日午後1時30分から、被告側証人である中村好一医学博士が疫学の専門家の立場から『名古屋スタディ』に対する原告らの批判が誤りであること、その他、疫学的な争点について証言される予定となっております。被告側の専門家証人は12人採用されており、本年9月まで約8ヶ月間、4つの地方裁判所で尋問が続くこととなっております。この被告側専門家証人の証人尋問の段階が終わりますと、さらに合計10人の原告本人の尋問が行われ、その後、最終準備書面を双方で提出した後、一審の判決という予定になっております」

~質疑応答~

鈴木エイト

―—確認ですが、反対尋問の中で原告代理人が〝HPVワクチンは従来のアジュバントより高い抗酸化、抗酸値ではないか?〟と言った時に、証人は何が違うと答えたのですか?

弘中弁護士

「抗体価が上がるとそれによって感染の予防について、優れた効果を持つんだということを仰っていたんだと思います。(角田証人が)違うと仰ったのは、おそらくガーダシルとサーバリックスで成分が、アジュバントの内容が違うという文脈ではないかなと思っています」

鈴木エイト

――今日の全体の原告代理人の反対尋問を聴かれて。紛糾する場面がありましたが、弘中先生も異議を唱えられていました。原告側の反対尋問の狙いと紛糾した場面についての解説をお願いします。

弘中弁護士

「私自身のことを申し上げますと、あまり異議というのは基本的にはしない方でありますが、特に私が再三申し上げたのは、今回、原告(代理人)が自分で質問して答えを求めていたのですが、証人が説明をされている途中で遮るということがありました。私はそこまで申し上げなかったのですが、GSKの池田代理人が仰ったのは、要するに、原告代理人が止(と)めようとしているのは、自分たちに不都合なことを角田証人が喋ろうとすると止めるのはやめてほしいと言うふうに仰ってまして、私も内心ではそこまでは思っていたのですが、はっきりとは申し上げませんでしたけれども、そういったことから、わたくしども、原告の方の尋問全体を通して感じたことというのは、皆さんも傍聴してお感じになられたかもしれませんけれども、いろんな文献を一言一句という部分を持ち出してきて専門家証人に示して認めさせようという風な意図があったわけですが、角田証人は当然のことだが医学的な専門家で、正直、私もどこまで十分、彼の証言が理解できたかはよくわからないところではありますけれども、私が聴いてる限りは原告の方(ほう)が尋ねたことに対して原告が欲しかった証言というのは求め得ることはなく、むしろ原告側が、今日尋問で示された文献がすべて原告としては有利だと思って示していたものだと思うのですけれども、結果としては角田医師が全て反駁をし、HPVワクチンとは関連性がないということについて説明をきちんとされたように私は理解しました。再主尋問でいくつか質問しましたが、基本的には反対尋問で彼が言及した研究であるとか、その内容を調書に残すために尋問をさせていただいたとということであって、特段反対尋問の内容について我々として懸念があるような内容はなかったという風に理解しています」

鈴木エイト

――紛糾した場面のひとつに「反ワクチン」という言葉を誰に対して言ったのかということが出ていました。ああいうやり取りがこの手の裁判では異例な感じがしました。原告はなぜそこにこだわったのか、あのやり取りをどう思われますか?

弘中弁護士

「当然のことですが原告の女性が代理人に対して〝ああいう質問をしてください〟という風に言ったものではなくて、むしろあそこに座っている薬害弁護団の方々が、それ(YouTube)を見て感じたことを質問されたのだろうと思っております。結論として、本件の訴訟とは、争点とは全く関係がない、原告の代理人がしたかったから訊いた質問だという風に私は理解しました」

鈴木エイト

――原告本人があそこであの質問をしたいということではなく、原告代理人が急に表出してきて、代理人たちの意見が急に出たということですか? こういうことは普通の裁判でもあり得るのですか?

弘中弁護士

「本件は非常に異例な裁判でありますし、原告団は個人が原告ではありますけれども、薬害オンブスパースン会議や薬害弁護団という組織に支えられて行っている訴訟という意味で非常に組織的なものだと思っておりますので、他の訴訟と同列には論じることはできないのかなと思っております」

NHKディレクター

――この裁判で因果関係というところを明らかにするということと、もうひとつは原告の方々が如何に救われるかというところも大事だなと思うところなんですけれども、先ほど仰った通り、原告側で症状が続いている方々に根拠のない治療が施されたり、さらには検査自体も根拠がないものとか、今日もありましたが、国際的に認められてない手法で数字を出しているっていう○○が出てきている中で、被告側のお考えになることをお示しいただけるものがあれば。正規のというか、しっかりとした治療が確立されてきたこの10年の間で、もし治療をちゃんとしていれば、もう治っていたのではないかということについての見解をお伺いできたらと思います。

弘中弁護士

「今のご質問は非常に重要なことだと考えております。我々としては、本当に不幸なことだと思うのですが、原告の方々は、〝心因性機能性の疾患だ〟というお医者様の診断を受け入れることができずに、まあ色々とドクターショッピングを重ねられた末にですね、今回HANSという理論を主張している一連の先生方にお会いされて、そこからまた弁護士というものを紹介されて本件訴訟ということに至っているという風に思うのですが、いわゆる機能性疾患に対して有効な治療のひとつであると言われている認知行動療法というものがありますが、その認知行動療法というものを、原告側の高嶋医師が証言されたことなんですけども、どういう風にお話しされたかというと、〝日の光を浴びて歩きなさいと、そうすれば治る〟という風に言われたけれども、自分は言われた通りやったけれど治ってないと、そういう趣旨のご証言をされましたので、我々の専門家証人の鴇田夏子医師が福岡地方裁判所でご証言されたんですけれども、いわゆる機能性心因性の疾患で苦しんでいらっしゃる方が、鴇田先生のところにいらっしゃって、ワクチン接種した型、接種されなかった方が両方いらっしゃるんですけれども、認知行動療法というのもそんなに簡単に効くものではなくて、その病気の真実というものにきちんと向き合って、ご本人が努力をしてお医者様と信頼関係を構築して、初めて有効になっていくと、そういったことを鴇田夏子医師が説明されていたわけなんですけれども、やはりその心因性機能性疾患というのは大変苦しい病気だということは我々も承知しているところなので、それに向きあってきちんと取り組むということは、本当に大変なことなんだという風に思います。仰る通り、本件訴訟、10年続いているわけなんですが、当初、〝これが本当に心因性機能性なのか〟ということを疑ってということは、もちろんやむを得ないところはあるとは思うんですけれども、10年間という年月が流れていますので、その間に本当に正しい診断をされるお医者様に会って努力を積み重ねていれば、本日治った治っている方もきっといらっしゃるんだろうと。それにもかかわらず、まだ原告弁護団、あるいは医師の話を信じて、例えば免疫吸着療法であるとか免疫疾患に全く効かない、免疫疾患でなければ全く意味がない治療法ですので、そういった意味がない治療にお金と時間を費やされるよりも、苦しい道だということを私たちも承知はしているのですが、そういった心因性機能性という病気に向き合ってですね、努力をされて早く治っていただければいいなというのは、私自身もそうですし、会社も含めてそういう風に考えております」

NHKディレクター

――高橋(幸利)医師の論文が原告側から出て、原告側は触れなかったんですけど最終的に証人がお話ししたのは、高橋先生ご本人が因果関係はないと書いているということを原告側が示された証拠で因果関係がないということが書かれている事実ということ自体は、今回の訴訟において相当大きなことだと思うのですが。

弘中弁護士

「非常に重要なことだと考えております。高橋医師は実は名古屋地方裁判所でも証言をされておりまして、主尋問の中で原告の方が先生の研究から因果関係が証明されたという風に考えているのかということについて高橋先生は論文で書かれた通りの証言をされております。反対尋問では、もちろん我々の尋問に対していろいろ争っていらっしゃったんですけども、仰る通り、原告が出している証拠と論文というのは基本的には今日も角田証人が仰ってましたけれども、きちんとした対照群をとっておらず、したがって医学的には因果関係をきちんと確認できる内容になっているものは何ひとつとして無いと、それに対して、まあ被告の方が提出している論文というのは、きちんと対照群をとって、世界的で十分な数の研究を積み重ねてきているわけなので、それでも因果関係を示すものはないと、さらに付け加えるならば、東京地方裁判所で証言された椿(広計)証人という統計学の専門家がいらっしゃったんですけども、あの方も要するにそういった疫学研究が因果関係を示すものではないということは認めていらっしゃった上で、彼がせいぜい仰っているのは、だからこういう結果が出ているのでさらにその安全性の研究をすべきだということを仰っているに留まっておりまして、原告側の証人6人の証人尋問がありましたけれども、何ひとつ因果関係について示されることはないと。私たち12人の専門家証人を主尋問、反対尋問をこれからやっていきますけれども、もともと原告の方(ほう)として何ら因果関係がある、信頼性のある証拠を示していないという、全く無のところから何か因果関係が法律的に出てくるということはありえないという風に考えています」

鈴木エイト

――原告代理人が必ず被告側専門家証人に対して、最初に直接今回の原告を診察したか臨床したかを質問しています。その質問にこだわる理由と意図は何だと思いますか?

弘中弁護士

「原告代理人は以前から、ご自身の原告側専門家証人の本人尋問の際も仰っていたのは、池田(修一)医師、横田(俊平)医師、高嶋(博)医師、高橋(幸利)医師、たくさん原告の女の子たちを診察している中で彼らなりの理屈を述べているというわけですが、被告側の鴇田証人も一部HPVワクチン接種後の患者も診ているという風に仰っていましたが原告側の医師に比べると数は当然少ないので、そこを原告としては対裁判所との主張で、〝診断している原告の数が違うんだ〟ということを印象づけたいのであろうという風には思っています。しかしながら原告の女の子たちは心因性機能性疾患だということ以上の特別な事情というのは、医療記録その他、あるいは原告本人尋問でもそうですけども、全く示されていないのが実情でありますので、先ほど申し上げた通り、免疫性疾患あるいはその他の原告が説明するような疾患であるということの医学的なエビデンスは全くなく、むしろこれまでの証拠が明らかにしていることは、彼女たちが心因性機能性疾患に苦しんでいると、だから正しい治療を受けて、救済される、早く回復されるべきだと。そのためには正しい治療を受けるべきだということが示されているという風に、我々としては考えています」

・原告弁護団の会見

関口正人弁護士

「HPVワクチン薬害訴訟東京弁護団です。先ほどMSDさんから会見があったようですので、ご承知のことと思いますが、今日、角田郁生証人の反対尋問の期日ということで、原告側で反対尋問を行いました。わたくしが東京弁護団の事務局長の関口、東京弁護団の代表であり全国弁護団の共同代表である水口、それから大阪弁護団代表である松井、全国弁護団共同代表の山西です」

水口真寿美弁護士

「今日は東京地裁では最初の被告申請証人ということで、前回、主尋問が行われました角田証人に対する私たちとしても被告申請証人に対する最初の反対尋問ということです。角田証人は免疫学者として、この法廷で証言をされて意見書も出しているわけですけれども、論点が非常に多岐にわたっておりまして、私どもは今日、3時間という限られた時間で多岐に及ぶ論点について反対尋問を尽くすというなかなか時間がもっと欲しいというところだったんですが、予定の尋問事項を大体3時間で終わらせたということです。内容について若干ご説明致しますと、午前中は角田証人が、HPVワクチンの副反応症状について私たちは多様な症状が共通して副反応患者さんに見られるというその特徴を持っているということで、一つの症候群であると主張しているのですが、角田証人はそのことについて〝バラバラだ〟とか〝共通性はない〟といった証言をしたり意見書で述べたりしてらっしゃいますので、そのことに対する反証としてですね。論文、被害者の方をたくさん診た研究者、複数の研究者、それから岡部班という厚生労働省の研究班の報告、それによると共通の一人の患者さんが複数の症状を持っているということが争いようもなく認められるという証拠を示して、このことをお聞きしました。このことに対して角田証人は〝これは共通性はない〟という証言を繰り返されていますけれども、私どもとしてはその証拠を裁判所が見ていただいていますので、証人の証言が不自然であることは理解していただけたものと思います。午前中のもう一つの大きな論点というのは、自己免疫疾患ということを私たちは主張しているのですが、角田証人は〝これは自己免疫疾患の自分が挙げる意見書で書いた要件を満たしてない〟ということを仰られていたので、その要件との関係で、‟その自己免疫疾患の要件と仰るものが実は他のすでに自己免疫疾患と言われているもの、皆さんに認められているもので、必ずしも満たしてないものがありますよね〟ということをお伺いして、それをお認めになりました。それからHANSの診断基準についても、私どもは角田証人に質問させていただいています。午前中はそういう意味で病態と自己免疫疾患という問題について、基本的にお伺いしたということで。大変、ひとつの質問をすると長くお答えになると、こちらはいろいろ限られた時間の中で持っている質問が、用意しているものがあるのですが、ひとつひとつに非常に長く、イエスノーでまずお答えになってからお話しになるならともかく、それもないままずっと話を始められているので、〝もっと簡潔に話してほしい〟ということを私どもが申し上げて、そのことに関して裁判所と双方の代理人と法廷でかなりやりとりがありました。それが午前中です。午後はですね。午前中の尋問をした弁護士は松本という弁護士なんですが、午後はまた別の弁護士が尋問しました。最初の尋問は池田修一先生のマウスの実験に関する尋問で、これは水口瑛葉という弁護士が質問しております。そもそもこの池田修一先生のマウス実験については、角田証人はこれを批判してYouTubeなどでもお話しになられているんですが、そもそもこの批判していらっしゃる実験について、〝これは厚生労働省の研究班の研究で、実際、研究をしたのは池田先生ではない産婦人科の医師であるってことをご存知ですか?〟って訊いたら、そのことはよくご存知でなかったということがあって、ちょっとこれは驚きました。あと、名誉毀損訴訟との関係では、村中璃子氏が負けていると、判決では捏造はなかったということが厳然たる事実としてありますので、その点についても確認させていただきました。その上で、角田証人が、裁判所が〝捏造がない、名誉毀損である〟という風に認定した村中氏の訴訟についてサポートするというか支持するという活動を『守れる命を守る会』いうところでやっていたということをYouTube等で公言してらっしゃいますので、その基本的な立場についても確認をさせていただくというようなことをしております。大事な論点はもうびとつ。自己抗体が脳に行くということの機序について、脳を守るための血液脳関門(Blood-brain barrier, BBB)というのがあるのですが、そこが破られることがあるということについて、文献を基に確認をさせていただきました。証人は〝それはあまりないことで、一定の条件がある〟ということを仰いましたけれども、主尋問や意見書ではあたかも絶対にないと読めるような書き方をしているところについて、そういうことが起こり得るということを認める証言だったということで、ここも私どもとしては要所、そこのところは確認できたという風に評価しております。動物実験については水口瑛葉弁護士の質問で、次、もうひとつ同じ動物実験で撤回された論文というのがいくつかあるんですね。私たち『Inbar論文』『荒谷論文』という風に呼んでいるが、この撤回の理由等についての証人の認識をお伺いしました。私どもとしては、利益相反のある編集者が一旦査読を通って掲載したにもかかわらず、著者が了解しないのにもかかわらず、それを取り下げるということの問題性というのをいくつかの観点から質問させていただきました。意外にこの点については、逆に補充の質問とか最主尋問の中で証人自身が〝そんなよくあることではない〟というその不自然さを逆に認めるような証言をなさっているということがありました。あと、実験の手法についてですね、いくつか証人は主尋問で、この『荒谷論文』『Inbar論文』を批判していましたけれども、その見方に問題があるのではないかという観点からいくつか質問させていただいて、まあ、そういうこちらの質問に対して、こちらが〝誤りではないか?〟という風に指摘したことを実質上認めるような証言があったという点もこちらは評価しております。これが動物実験についての中西弁護士の質問でした。三つ目が分子相同性についての質問です。ここについては松井弁護士から簡単に説明してもらいます」

松井俊輔弁護士

「分子相同性のところの尋問をしたのは矢吹遼子、大阪の弁護士です。分子相同性ってなんだろうと皆さん思われているかもしれませんが、角田証人は〝そもそもHPVワクチンでは自己抗体ができないのだ〟と証言されています。自己抗体というのは自分の細胞を標的にする抗体です。そういう抗体ができると自分の細胞を攻撃するので、いろんな症状が出ます。(角田証人は)その〝自己抗体をそもそもHPVワクチンは作らないのだ〟という証言をされていて、その根拠として〝HPVワクチンでは分子の相同性がないのだ〟と。自己抗体ができる機序というのはいくつかあるんですけれども、その中の比較的メインのメジャーな機序がこの分子相同性です。分子相同性って何かというと、要するに人の細胞っていうのは、いくつかのアミノ酸が繋がってできてるわけです。その繋がってるアミノ酸と、例えばウイルスが入ってきて、そのウイルスとアミノ酸が似ていたら、それを間違って攻撃してしまう、その間違って攻撃して、それで自己抗体ができるっていうのが分子相同性というものだと思っていただいたら結構です。角田証人は何で分子相同性ができないのかと言っているかというと、実はあのHPVワクチンに含まれているL1VLPというもののアミノ酸の配列は人のアミノ酸の配列と非常に似ているところがたくさんあるっていう、そういうことが、これは事実として認められています。でも、そういうのではダメなんだって、なんでダメなのかというとアミノ酸の配列が、一定のエピトープっていうんですけども、ちょっと難しいですけども、アミノ酸の配列がいくつか揃ったやつが全部、例えば10個やったら〝10個のアミノ酸の配列が全部一致してないと分子相同性が起きない〟というのが角田証人の証言でした。で、本当にそうなのかというところで、我々の方でいろいろ調べて今回、反対尋問をしました。まず一つ二つ証言があって、一つは結局六つのうち四つしか合ってなくて、それで分子相同性機序によって自己抗体ができているという論文を示しました。それについては角田証人も〝まあ確かに六つのうち四つしかないですね〟という証言をされています。そういう意味では、立体構造とかいう問題でいろいろ仰ってましたけど、結局アミノ酸の配列が一致してるの六つのうち四つで、それで起きるわけなので、アミノ酸の配列とかが全部一致してないといけないということではないということは多分、裁判所に解ってもらえたのではないかと思います。もう一つは、角田証人の師匠である藤浪(良仁)さんという日本人じゃないんですけど、藤浪さんという方が書かれた論文で、それは六つ中六つが一緒だという論文です。エピトープというのは、例えば全長が一致してないとしても六つ中六つ一致していたらいいわけですよね。それはエピトープなんですよね。エピトープになるんです。で、先ほどちょっと言いましたけど、カンディックさんっていう人が、人のL1VLPと人のアミノ酸の配列を比べたら五つないし七つで一致してる、連続して一致している部分がたくさんあるという風なことを公表されているので、結局は六つあったらそれは分子相同性が起こるのかっていうことで自己抗体ができるのだということはその論文からも明らかなので、それを質問したら〝六つ中六つで、それはエピトープを構成します〟と仰ったので、結局、人のアミノ酸の構造の五つから七つは一致しているところがたくさんあるわけなので、それを連続して一致しているわけなので、それをエピトープになるのであれば、そういうことで分子相同性につい自己抗体ができるんだということになるという風に我々は考えていますし、裁判所にもそのように伝わったのではないかと思っています。分子相同性に関してはだいたい以上です」

水口弁護士

「今が矢吹弁護士の質問でした。ちょっと若干さっきに戻って動物実験のところの私の説明で前提事実をちょっとお伝えしそびれてたのかなと思うので、若干補足させていただくと、問題となっている動物実験は、このHPVワクチンの危険性を示した動物実験2本で、それについていずれも1回は査読が通ったのに掲載されたのに著者の了解なく撤回をされた、その経緯の不自然さを訊いたと、その撤回の経緯を訊いたというのは、そういう趣旨で訊いたということですので、若干補充はしておきたいと思います。これの内容についても問題を指摘してきましたけれども、〝それはそうでもない〟ということを、今日の証言の中で一部お認めになっているということを付け加えさせていただきます。それから、今の分子相同性の話というものの続きで訊いたのが、午前中質問した松本弁護士による質問なんですね。要するに私たちが主張しているこのHPVワクチンでこのような副反応が起きる機序っていうのは、一つは分子相同性、それからもう一つは過剰な免疫反応を引き起こすほど、このワクチンが強い免疫賦活力を持っているということなんですが、松本弁護士が午後でもう一度尋問に立って訊いたのは、このHPVワクチンが過剰な免疫を引き起こす力を持っているという観点からの質問でした。角田証人はこのことは否定しているわけですけれども、その理由として今まで、まずアジュバントについて言えば、今までアルミニウムのアジュバントは安全に使われてきたということを理由としていらっしゃるので、午後の質問では今までのアルミニウムアジュバントとこのサーバリックスやガーダシルに入っているアジュバントの免疫力、免疫を賦活化する力が全然違うと、HPVワクチンのアジュバントは非常に強い免疫賦活力を持っているということを示す、そういう論文を具体的に示して訊きました。実質上、そのことはお認めになられている。ですから、今までのアルミニュウムアジュバントが安全だからって言って、それと同じようなレベルでHPVワクチンを論じることの問題性というのは裁判所に十分伝わったのではないかなという風に思っています。その他にもうひとつは、この免疫が過剰な免疫反応を起こすその機序として、バイスタンダー活性化という機序がありますので、証人は意見書でバイスタンダー・キリングという言葉しか使っていませんでしたけども、それはバイスタンダー活性化ということで、こういうワクチンでそれがHPVワクチンで起こりうるという観点から質問をさせていただいて、論文を示しまして、それは証人は〝その論文については自分の考えと同じだ〟ということを結果としてお認めになられていますということで、そこも確認できたかなという風に思っています。その他にもいくつかうかがっていますけれども、このHPVワクチンの免疫原性の強さというものですね、今日の午後の松本弁護士の質問で明らかにできたのではないかという風に思っています。最後の質問者の木下弁護士は、実はこの角田証人というのは免疫学者なんですけど、ご自身の意見書の中で、このワクチンの有効性とかですね、このワクチンを推奨すべきだという観点からキャッチアップ接種のことを述べたりしてらっしゃいますので、そのことについてうかがっています。ひとつはこのままHPVワクチンの(積極的)勧奨中止が続くと、今は解除されてますけど、続くと患者数とか死亡者数が非常に増えるという論文を用いてそのことを表現されました、意見書に書いていらっしゃいますので、かなり実験とか証明ということにこだわられているにもかかわらず、実はこの(積極的勧奨)中止にした場合の患者や死亡者数の増加ということの論文の根拠は、HPVワクチンの効果が生涯続くことを前提としているという証明されていない仮定を前提としている、そういうものを、有効性の場面では証人は意見書に引用している。危険性については、非常に厳しい証明を要求しているのに対して、ずいぶん違った態度で対応してらっしゃるということを明らかにするために、その点について質問させていただいて、これは論文で確認をさせていただきました。それからもうひとつはキャッチアップ接種について意見書の中でわざわざ述べてらっしゃいますけれども、21歳以上の有効性が認められていないという、そういうデータを示す厚生労働省の資料を見ていただいて、そのことについての認識をおうかがいしました。それからもうひとつ最後に、証人がご自身の総説、論文ですね。その中でHPVワクチンの危険性を指摘する専門家について、『反ワクチン』って書いているんですね。それからYouTubeの中で私ども弁護団のことを『反ワクチン』という風に仰っているので、その点についておうかがいしました。趣旨としては、裁判官がむしろ介入をして、〝質問の趣旨はこういうことですか?〟という風に訊いてくださったので、より明確になったと思うのですが、そういうレッテル、あたかもですね、反ワクチンというと全てのワクチンを否定しているかのように聞こえますけれども、そういうレッテルを貼る、言動をしているということを確認したかったわけです。証人としては、その全てのワクチンを否定するという『反ワクチン』という意味じゃなくて、『反HPVワクチン』という趣旨で使ったのだという風に仰った上で、〝全体を否定するように受け取られたのだとしたら訂正します〟と〝訂正することも可能〟と言ったのかな…。訂正ということを含んだ発言をなさいました。ということで今日の尋問は終わりました。非常に多岐に及んでいて、しかも分子相同性とか過剰な免疫反応もそうですけれども、文献を示しながらの質問だったので、傍聴人にはなかなか聴いていて難しいという風に思ったかもしれませんけれども、私どもとしては私どもが考えていた論点について一定の獲得ができたという風に自負しております」

~質疑応答~

鈴木エイト

――あの「反ワクチン」のところですが角田証人は「そう受け取るなら訂正します」と仰ってました。

水口弁護士

「あ、そうですか。ありがとうございます」

鈴木エイト

――あそこで、ああいう「反ワクチン」関連の質問をされたということには、角田氏は比較的この裁判を含めて積極的に外部に発信されたりされている方(かた)だということで、敢えてあの質問をされたということはあるのでしょうか?

水口弁護士

「はい、そうですね。今日、最後の質問は途中で池田証人のマウス実験との関係でも村中璃子氏を支持する活動をしていたという趣旨のことを確認させていただきましたし、最後のところで裁判所が『レッテル』という言葉を使いましたけれども、そういう風な誤解を招くような発言をYouTubeで配信していらっしゃると、キャッチアップ接種についても、先ほど言いましたように、21歳以上に有効性がないということを厚労省の資料でお示しましたけれども、そういうことにかかわらず、そのことを良しとするという立場で活動されている、そういう証人であると、決して中立の立場で、科学的な立場でお話ししている、そういう証人ではありませんよということを理解していただくということがあったと。私どもとしては証人のスタンスという風に言いましたけれども、証人のスタンスを明らかにするということは、やっぱり証人の証言の信用性の評価にかかわりますので、今日の尋問を通じてきちっと示したという風に思っております」

鈴木エイト

――今日の反対尋問の中で、証人から取りたい証言は基本的に全て取れたという認識でしょうか?

水口弁護士

「午前については、書評上いかにも明らかなことについて証人が、これを正面から認めるということはなさらなかったんですが、そこはある意味、その書証を示して裁判所に見ていただくことによって、その証言態度の不自然さというのを理解していただけたんじゃないかという風に思っております。そういう意味で全般として私どもとして成果があったという風に考えております」

鈴木エイト

――再主尋問で、証人から〝(原告代理人は)バイスタンダー・キリング(殺傷)とバイスタンダー・アクチベーション(賦活)を混同して質問している〟という指摘がありましたが?

水口弁護士

「それは違うと思います。私どもは再反対尋問の時間が限られましたので、そこのところは再度お訊きすることはできなかったんですが、バイスタンダー活性化のことについては、論文を示して、ここに書いて読み上げて、〝ここに書いてあることと証人のお考えは同じですか?〟ということを明確に確認しています。それに続く質問も、それを前提とした質問もして、こちらの意図、考えているご回答をいただいているので、あの再尋問のところで〝混同した質問〟っていうのは、ちょっとさすがに違うのではないかなと思います」

鈴木エイト

――そこを指摘したかったけれども、再反対尋問が認められなかったということですか?

水口弁護士

「認められないというか、再反対尋問が一問に限られたんですよね」

NHKディレクター

――今日の裁判を聴かせていただいた中で思うのですが、長い期間、訴訟が続いて原告の方(かた)とやり取りをされていると思うのですが、原告の方(かた)が一日も早く回復されるっていうところの中でですね、原告の方が主張したいことって、この長い期間、いろいろと裁判を重ねる中で変わっている部分ってあるのか? それとも一貫して主張は変わらずにいらっしゃるのかっていうところを、いろんな専門家の意見もお聞きになられているところからするところをおうかがいできたらなと。もう一点は、もう一度最後にやっぱりもう一段質問があれば深まっただろうということの中でですね。Inbar論文や荒谷論文といった形で利益相反の方が編集者で、撤回するっていうところに関して、最終的に編集者と第三者が何でそれで撤回をしたのかということを仰ったところへの再反論ということはなかったですけど、そちらの意見について、どういう風にお考えか教えていただけたらと思います。

水口弁護士

「最初の質問ですけど、原告の方の主張というのは、私たちの訴訟上の主張という意味ですか? 原告の被害者本人の願いとかそういう話でしょうか? 両方ありますか?」

NHKディレクター

――両方もし聞けるのであれば、お伺いしたいと思っています。

水口弁護士

「原告の訴訟上の基本的な主張は変わりません。ただ、この10年の間に知見が積み重なってきていて、私たちにとってはですね、私たちが裁判を起した時っていうのは、なんかワクチンの安全性、ワクチンは安全なものだということが皆さんの中に染みついているという状況だったと思うんですけれども、やっぱり新型コロナウイルスワクチンで今、死亡救済制度の死亡認定数が過去の予防接種法の救済制度を発足してからの全ての期間を合わせた死亡の認定の何倍にものぼっている方が認定されているという、そういう、もうすぐ千人ちょっと、最近の数字はあれですけども、何か月か前は900とかそういう死亡認定が出ているというような、そういう環境もあって。それも自己免疫ということも指摘されているわけですね。ですので、そのワクチンというものについての皆さんの見方っていうのも少し変化してきてますし、それから知見という意味でも、このワクチンの危険性をより明確にし、一方で有効性の限界をより明確にするというそういう知見が私どもとしては積み重なってきているという風に思っていますので、主張の厚みを増しているというかですね、だから、今日の反対尋問でも、新しい論文なども示して質問はさせていただいています。だから基本は変わらないけれども、知見の積み重ねで、その内容がより濃くなっているということは申し上げることができると思います。それが原告弁護団の主張です。もうひとつは、被害者の願いという点で言えば、やはり〝早く治療方法を確立して、元の身体に戻してほしい〟ってのは、一番の願いで、そこは進歩していないんですね。副反応についても積極的勧奨が再開されてから協力医療機関を訪れる被害者がむしろ増えたりしているような現状で、それにもかかわらず、実際、〝寄り添う支援〟ということを言って再開したにもかかわらず、現在に至っても治療法の研究に大きな金額が投じられてるとか、そういうことは全くないわけで。〝治療法を開発してほしい〟っていう、〝早く元の自分の身体に戻りたい〟というその願いというのは一貫して変わらないけれども、これが実現していないという現実も変わらないと、そういうことがあります。もうひとつ、最後の撤退のお話なんですけれども、ここについては先ほど申し上げたように、実験方法については論文にはっきり読めばわかるので、百日咳毒素を使ってるとか、どのような容量を使っているとか。ですから、問題ならば査読の段階で必ず指摘されて、そこでリジェクトされているのが普通なんですけど、どちらもこのワクチンの危険性を示す非常に重要な実験が査読を通って公表された瞬間に、本人の了解なく撤回されて、そのうちのひとつについては編集長の判断で撤回されている。先ほど外部専門家の評価も入れてるっていう風に雑誌社側は書いていましたけども、撤回したのは編集長判断であるっていうところは変わらないわけです。ですから、ここの不自然さっていうのは拭えないという風に思います。公表された瞬間に〝あ、こういう論文があるんだな〟ってことは企業の目には触れるわけですよ。それまではわからないから。だから、その後(あと)の段階で〝著者が了解しないので、雑誌社側の判断で取り下げになる〟という。これはとても異常なことで、実はあのそういった問題は〝科学ジャーナルは門番か?〟という問題提起をしている方もいらっしゃるぐらいで。非常に大きな問題だと思います。これはコロナのワクチンについても同じようなことが起きていると指摘されています」

医療情報発信民間団体の記者

――何がどうなったら「あなたはワクチン後遺症です」という診断基準になるのでしょうか?

水口弁護士

「HPVワクチンについて私たちが重視しているのは、HPVワクチンを接種した後(あと)に…」

医療情報発信民間団体の記者

――後(あと)というのは、それはどのくらい後(あと)でしょうか?

水口弁護士「それはさまざまです。期間が先ほど言ったように症状が発症するまでに、例えば一か月以内とか半年以内っていう、そういう明確な基準を設定することができない。そういう性質のものだと思う」

医療情報発信民間団体の記者

――例えば、接種してから5年後10年後に何か不調が出た時にそれもワクチン後遺症になると?

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  • 角田郁生氏がXで反論

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