HPVワクチン訴訟、東京地裁での最後の原告本人尋問後の会見レポート。原告弁護団によるカルテの送付書嘱託を阻害するレターは、‶原告のプライバシーを護るため〟

昨年11月17日、東京地裁で開かれたHPVワクチン訴訟における原告本人尋問第2クール。東京原告3番、15番、59番の女性が主尋問と反対尋問等を受けた。今回のレポートでも閉廷後の記者会見の内容を中心に記す。
鈴木エイト 2026.10.21
読者限定

原告支援者によるリレートーク

開廷前には、裁判所前で原告支援者によるリレートークが行われた。

裁判所前の歩道で支援者に向けてスピーチを行う水口真寿美弁護士(撮影:鈴木エイト)

裁判所前の歩道で支援者に向けてスピーチを行う水口真寿美弁護士(撮影:鈴木エイト)

原告団全国共同代表の水口真美弁護士

「2016年7月に、この訴訟は提訴いたしました。それから本当にたくさんの期日を重ね、2年前に原告申請の専門家証人の尋問、そのあと原告本人の尋問、そして今年は昨年10月から被告製薬会社申請の専門家証人の尋問ということで尋問が続いてまいりましたけれども、東京地裁での尋問期日としては今日が最後になります。このあとは2027年の2月に結審、そして4月(※東京地裁は5月)に判決というスケジュールになっていて、そういう意味で今日、大きな節目を迎えることになります」

「薬害の姿に共通しているのは有効性の過大評価、危険性の過小評価、そして不十分な情報提供と過剰な宣伝、そして製薬企業と専門家との間の利益相反。この構図はですね、どの薬害についても同じなんです。そしてこのHPVワクチンの薬害についても多くの特徴は、それはひとつのイレッサという訴訟がございましたけれども、それと同じで、今使われているその薬についての訴訟だということ、そしてワクチンに関する訴訟だということです」

「HPVワクチンについては積極的勧奨が再開されまして、今、被害者が増えています。協力医療機関を受診する患者さんが増えているんですね」

「そこに来るのは氷山の一角、その背景にたくさんの被害者がいるはずです。そういう意味でもこの裁判は今原告として全国で戦ってる100名を超える被害者の皆さんのためだけのものではなくて、それから今生まれている新しいHPVワクチンの被害者のための訴訟でもありますし、そしてコロナワクチンもあります。ワクチンの安全性、安全なワクチンを私たちは求める、そのことを伝える、訴えるそういう訴訟であります」

「皆さんの私たちの子どもや孫やそういう将来の人たちのための裁判でもあるわけです。そういう意味で今日は本当な大事な起点になる、大事な期日です」

原告を支援する区議会議員のスピーチ(撮影:鈴木エイト)

原告を支援する区議会議員のスピーチ(撮影:鈴木エイト)

 傍聴抽選には、一般傍聴53席に97人が並んだ。私もこの日は当選した。この日は、私が統一教会サイドから起こされたスラップ訴訟のうちの一件の結審期日でもあったため中座する時間もあったが、ほぼすべての尋問内容を把握することができた。

 原告3人の本人尋問、原告番号15番の女性とは唯一コミュニケーションが取れる。ご家族も私の他の社会問題などについての言論活動自体には好意的で、少なくとも一部の原告やその支援者たちのように私に対して‶敵認定〟をしてこないため、普通に会話ができている。

 口頭弁論終了後、司法記者クラブ会見室で製薬会社2社と原告及び原告代理人の会見が行われた。

製薬会社(GSK)代理人の会見

池田裕彦弁護士「お時間いただきまして、ありがとうございます。私どもは子宮頸がん予防ワクチン訴訟の被告企業でありますGSKの訴訟代理人です。本日、第29回口頭弁論ということで、原告の方3名の尋問が行われました。この3名の尋問を受けましてGSKとしてのですね、会見をさせていただきたいと思います。皆様から向かって右側からそれぞれ代理人の佐藤、山田、池田、大林、小森でございます。よろしくお願いいたします。

 まず最初にですね、今日の尋問、特にGSKが販売しましたサーバリックスを接種した原告さんの尋問の結果、あるいはその意味につきまして山田弁護士の方から簡単にご説明をさせていただきまして、そのあとご質問をお受けしたいと思います。よろしくお願いいたします」

山田真吾弁護士「山田でございます。よろしくお願いいたします。私の方は午後ですね、東京の3番さんの原告さんに対する尋問をさせていただいたということです。この方は、中学3年生の時に2回接種を受けられて、高校1年生、入学直後に接種されたと。その後に腹痛とかそういう症状が出た、消化器系の症状が出たと。それが主尋問でのご証言によるとサーバリックスの副反応であるというふうに今、ご主張になられているということです。

 ただ他方で、反対尋問を聴いてくださっておられた方はご理解いただいたかもしれないんですが、ご本人は主尋問でもあまりおっしゃらず、反対尋問でも否定をされておられましたけれども、やはり高校に入学したあとにクラスの環境にやっぱり馴染めなかったということが診療録のありとあらゆるところに繰り返し記載をされているということです。この当時はおそらくまだこの子宮頸がんワクチンの報道なんていうことも、そんなにされていない時期でしたので、おそらくは、そういった予断のないといいますか、要するにワクチンとあまり関係づけない前提での、ありのままを多分お話しされたので、非常にそういった内容がきちんと記録されているのかなというふうに思います。その辺りを今日は一つ一つですね、お示ししながら聞いていったんですけども、(原告)ご本人は一貫して‶それは違う〟というふうな否定をされたと。‶クラスを変えてくれ〟ということまであったにもかかわらず、それも‶特に自分としてはそこまで思っていなかった〟みたいなことをおっしゃっているようなところでございます。

 あとは何て言いますか、やはりその学校のストレスがメインで症状が出ておられるので、学校に行かない時、休みの日、例えば休みにはスキーに行ったり、海外旅行に行ったり、そういったことをしたり、あるいはご自身の声優とかそういう学校に通われている、そういうのは機嫌よく行けるというようなところがあるというのは、この疾病の特徴ではありますと。

 ただ、今日も尋問の中でも申し上げましたけど、ご本人もおっしゃってますけど、平成25年12月辺りに新聞記事で子宮頸がんワクチンというのが自律神経系の障害と関係するんじゃないかみたいな記事が出て、で、それ以降、その疑いを持たれて、いわゆるHANS(HPV vaccine-associated neuro-immunopathic syndrome/HPVワクチン関連神経免疫異常症候群)って彼らが言ってますが、HPVワクチンによって起こる神経障害なのだど主張している西岡(久寿樹)医師であるとか、横田(俊平)医師であるとか、平井(利明)医師であるとか、お医者さんいらっしゃるんですけど、そういう方々の診察を受けられてHANSという診断を受けて、その後、原告団にも加わってと。こういうふうな経過をされたと。

 で、その後も現在まで症状がおありと言うんですけれども、他方でですね、ご本人としては今、女優業をされているということで、アクション女優というふうにご本人のカルテにありましたものですから、それはどういう仕事ですか?ということもお聞きしたら、今のそういったところを状況っていうのは明らかにするっていうことでも尋ねをしたということでした。

 だいたい、この症例の経過というのは、こういうもので。ある意味で言うと、何と言いますか、割とこう、そういう心因反応と言いますか、そういうストレス原因というのが非常に明らか、診療録で明らかで、そこはしっかりとその専門の精神科のお医者さんに当初からかかられて、そこでしっかりとお話になられたと。そこでの治療をそのまま続けていかれたら良かったかもしれないんですが、やっぱりその学校っていう、どうしても、いかんともしがたいようなその環境というのがあったのか、なかなか、その後、そういったHANSっていうのを提唱されるお医者さんにかかられた辺りから、もう一方的にそちらの方に考えが固まっていかれたというような経過なのかなというふうに見てとれました。私の(反対尋問した原告の)症例は以上です」

***

この記事は無料で続きを読めます

続きは、16856文字あります。
  • 原告代理人の会見
  • 製薬会社(MSD)代理人の会見
  • 次回は最後の本人尋問レポート

すでに登録された方はこちら

読者限定
製薬会社代理人が原告女性への尋問の葛藤を明かす「どこまで医療記録のこと...
読者限定
HPVワクチン訴訟、被告側専門家証人の尋問終了後の会見で製薬会社代理人...
読者限定
統一教会の成約ビルから立ち退いた孝情教育文化財団、地区教会は「財団〇〇...
読者限定
「疾病利得」VS「利益相反」の闘いが続くHPVワクチン訴訟。痛覚変調性...
読者限定
侮辱罪で無罪判決の統一教会弁護士に裁判長が異例の“説諭”
読者限定
HPVワクチン訴訟、専門家証人への原告代理人の指摘「先生の意見書は査読...
読者限定
「原告代理人の質問は枝葉末節なところしか突いてない」HPVワクチン訴訟...
読者限定
HPVワクチン訴訟第一審、専門家証人への最後の主尋問、会見レポート