「違いますね。言ってません」山上徹也被告が浅野健一氏の書籍の問題箇所を指摘
6月11日、筆者は大阪拘置所を訪ねて山上徹也被告と面会を行った。発刊後、彼に送っていた拙著『アンビバレント 山上徹也が私だけに明かした謎の核心』(講談社)に対する受け止めや感想などを聞くことが主な目的だった。興味深い話が聞けたのだが、そのことに関しては別の機会に発信する。
今回の記事では、面会終盤の雑談の終盤、彼の裁判に関する先行書籍について話していたときのエピソードを紹介したい。
ファクトチェックがなされていない書籍が散見
山上徹也被告の裁判に関する書籍のなかには基本的なファクトに誤りがあるものが散見される。
三枝玄太郎氏の『なぜ安倍元総理は殺されなければならなかったのか 山上徹也被告裁判傍聴記』(徳間書店)もそのひとつであり、山上徹也被告の「道徳感情」との発言を「同時勘定」と書いているなど、傍聴メモの推敲すらできていないのではと感じてしまうものだ。当該書籍の帯にはこんな惹句がある。
〈暗殺前日の重大「目撃証言」を独占入手 山上被告は中国人4人と岡山で合流 密談 していた〉
山上被告はこの帯の文言について苦笑し呆れていた。
浅野氏の書籍に事実無根の記述
また、浅野健一氏による『石ころを石礫に』(三一書房)のなかに看過できないレベルの事実無根の内容が記述されていることはこれまでも報じてきた。
裁判官の名前が間違っていたり、山上被告のツイッターの投稿内容がなぜか法廷での発言となっているなどの誤り、私に関する悪質なデマなど、問題ある箇所は多々あるのだが、なかでも問題だと思ったのは以下の記述である。
山上徹也被告が公判において以下の発言(供述)をしたとしてカギ括弧で括って書かれているのだ。
〈「2003年頃から、統一教会幹部と政治家の襲撃を考え始めた」と法廷で語っています〉〈「安倍氏を襲いたいという気持ちは2006年頃からあった」と何度も語っています〉
私は奈良地裁の101法廷での山上被告の全発言を確認しているが、こんな供述は一切していない。だが、浅野氏は5月16日に都内で開かれた出版記念講座終了後、私の指摘に対し「言っています」などと抗弁していた。
ーー少なくとも山上被告は「2003年ごろから、統一教会幹部と政治家の襲撃を考え始めた」「安倍氏を襲いたいという気持ちは2006年頃からあった」などと法廷でひと言も言っていませんが?
浅野氏「言っています」
ーーいえ、そんな発言してないです。どうやってファクトチェックされましたか?
浅野氏「公判記録を見ればどちらが間違っているか判ります」
――公判記録を見たんですか?
浅野氏「まだ見てないです」
ーー見ていないですよね。彼はそんな発言していませんから
浅野氏「あなたは間違っています」
――それはすべてあなたの思い込みです。山上被告が「2003年ごろから、統一教会幹部と政治家の襲撃を考え始めた」「安倍氏を襲いたいという気持ちは2006年頃からあった」と法廷で何度も発言したと書いてあるのは、間違いです。
浅野氏「あなたが間違っています」
――公判記録になかったらあなたの妄想ということですね
浅野氏「あなたが勝手にやればいいじゃないですか」
――あなたの主張だと奈良地裁の公判記録に山上被告が「2003年ごろから、統一教会幹部と政治家の襲撃を考え始めた」「安倍氏を襲いたいという気持ちは2006年頃からあった」と被告人質問に対し供述したといことが何度も出ているんですね?
浅野氏「そうですね、出てきますよ」
浅野氏をウルトラ擁護する出版社代表のSNS投稿
また、出版元の三一書房の代表者もこんな投稿をFacebookにしていた。
〈『石ころを石礫に』の出版記念講演に付箋だらけの本を手に参加した鈴木氏に「これが全部間違い?」と問うと、付箋ページを開いて見せることはせず「自分が近く刊行する書籍に収録されていない山上発言がある。マスコミ報道にもない」といった〉
〈テレビの生放送に出演するため途中退席を繰り返した著者が、「自らの著書に記されていない、マスコミ報道でも取り上げられていない被告人発言が記載されている」と指摘していることこそが、浅野健一著『石ころを石礫に』が読むべき書籍であることの裏付けだ〉
失笑するしかないのだが、一応指摘はしておこう。