「原告代理人の質問は枝葉末節なところしか突いてない」HPVワクチン訴訟で製薬会社申請専門家証人が指摘

2027年4月から5月にかけて全国4地裁で判決言い渡しが予定されている『HPVワクチン薬害訴訟』 本稿では、これまでの口頭弁論と閉廷後の会見の内容を報じてきた。今回は2025年7月16日に福岡地裁で行われた製薬会社申請専門家証人の本郷道夫教授(心療内科・総合診療)への反対尋問後の会見の内容をまとめた。
鈴木エイト 2026.09.07
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福岡地方裁判所で開かれた被告製薬会社申請の専門家証人、本郷道夫・東北大学名誉教授への原告代理人による反対尋問等。

この日は法廷内がかなりざわついていた。本郷氏が答えている時に原告代理人がヤジを飛ばすように口を挟む場面が多々あり、GSK代理人の池田裕彦弁護士が「発言中は黙っていてください」と苦言を呈す。それでも収まらない〝ヤジ〟に「発言中は黙っとけよ」と池田弁護士が強く窘める場面も。

傍聴席でも原告支援者がずっとスマートフォンをいじっていたり、休廷時には証人が先に退廷するにもかかわらず、同じタイミングで法廷を出た傍聴人が複数いや。だが、裁判長は注意せず、訴訟指揮にやや問題を感じた。

この日も原告代理人は反対尋問の冒頭と最後に被告製薬会社申請の専門家証人に対しCOI(利益相反)に関する質問を行っていた。

閉廷後、MSD代理人、GSK代理人、原告代理人の順番で司法記者室で会見が行われた。福岡地裁には会見場がなく、司法記者室中央のソファーに会見者が座って話をする記者レクスタイルとなる。いつものように私も会見に参加した。

MSD代理人の会見

MSD代理人の会見

MSD代理人の会見

弘中聡浩弁護士「私はMSD訴訟代理人の弘中聡浩と申します。ここにいるのが一場、佐藤、岡弁護士です。HPVワクチンに関しましては、東京・大阪・名古屋・福岡の4つの地方裁判所で2016年7月に提訴されて以来、審理がつづけられております。2023年の5月から12月にかけて原告側の専門家証人の尋問、2024年1月から9月まで原告本人の尋問が行われました。そして2024年10月から被告側の専門家証人の尋問という審理の段階に入っております。本日は福岡地方裁判所で4月21日に被告側の専門家証人として主尋問で証言された本郷道夫・東北大学名誉教授に対して原告らが反対尋問を行ないました。本郷名誉教授は心療内科と総合診療の専門家の立場から原告らが主張しているHPVワクチン接種後の多様な症状、一部の医師がHANS(ヒトパピローマウイルスワクチン関連神経免疫異常症候群)と呼んでいる病態は、HPVワクチンが発売され接種されるようになる前から、特に思春期の女性に多く見られる思春期心身症の特徴を持つものであり、身体症状症、機能性神経症状症、これは変換症とか転換性障害とも呼ばれるものですが、そういった疾患によるものであり、HPVワクチンが設置されるようになってから初めて見られるようになったという原告らの主張が誤りであることを証言されました。

我々被告としては本郷名誉教授の主尋問と本日の反対尋問におけるご説明から、原告らが訴える症状をHPVワクチンの接種と結びつけて説明する必要はまったくなく、心因性機能性障害によるものであることを立証できたと考えております。

MSDは世界中の人々の生命を救い、生活を改善することに全力で取り組んでおり、原告の方々の健康に心を寄せております。一方、MSDは原告の方々が訴えておられる症状は世界で数100万人を対象として 25年以上にわたって行われてきた数多くの研究によりHPVワクチンとの関連性はないと考えています。世界中の規制当局と保健機関はHPVワクチンの安全性と有効性を認めています。主に裁判所の要請を通じて病院から取得した原告の方々の医療記録(カルテ)には、原告の方々がHPVワクチンとは関係がない心因性機能性疾患などによって、痛みや運動障害などの多様な症状に苦しんでいらっしゃることが記載されています。原告の方々が訴えていらっしゃる痛みや運動障害などの多様な症状はHPVワクチンが世界で初めて発売された2006年よりもはるか前から、特に思春期の若い方に見られる疾患として知られており、かつ多くの医学文献に説明がされています。実際、HPVワクチンの接種歴のない方においても、HPVワクチン接種後に報告されている症状と同様の多様な症状を有する方が一定数存在したことが明らかとなっています。

原告の方々が多様な症状に苦しんでいらっしゃることは事実ですけれども、原告の方々や報道関係者の皆さんにご理解いただきたい点は、HPVワクチンとは関係がない心因性その他の要因が、原告が主張しているような重篤な身体的な症状をもたらし得るということです。

また、原告の方のなかには、接種後1年以上経ってから症状を訴えておられる方もいらっしゃいます。このように、かなり長い時間が経ってから訴えておられる症状はもちろんのことですが、時間的に近い時期に訴えておられる症状につきましても、HPVワクチン接種と結びつける科学的、医学的に信頼できる根拠はありません。実際、原告の方々を診察し、古くから知られている既存の疾患であると正しい診察をしていらっしゃる医師も複数いらっしゃいます。

しかし、原告の方々は、これらの症状は〝HPVワクチンの副反応によるものだ〟と主張されている医師のもとで誤った診断を受け、なかには侵襲性の高い危険を伴う治療、医学的効果が証明されていない治療を受けておられる方もいらっしゃいます。MSDは原告の方々が正しく診断され、適切な治療を受けられることが非常に重要であると考えています。

日本では毎年約1万人の女性が新たに子宮頸がんと診断され、年間約3000人の女性が亡くなっています。MSDはHPVワクチン接種により、HPV感染から女性を護ることで子宮頸がん患者の数を減らすことができると考えています。実際、スウェーデンやデンマークなど海外ではHPVワクチン導入後に子宮頸がんが減ってきていることが示されており、HPVワクチンの接種率が約80%と高いオーストラリアでは子宮頸がんは2028年には制圧される、すなわち10万人当たりの罹患者が4人未満になると推計されています。女性を子宮頸がんから護るには、子宮頸がん検診とともにHPVワクチン接種が重要な役割を果たします。MSDは、本件は信頼できる科学的エビデンスに基づいて正しく判断されるべきであると考えています。

福岡地裁では、次回は10月20日に再度、原告らの本人尋問が行われ、サーバリックスを接種した原告7番とガーダシルを接種した原告17番の2人の主尋問と反対尋問が同じ日に行われる予定であります。被告の専門家証人は12人採用されており、本年9月まであと2カ月尋問が続くことになっております。反対尋問が名古屋で1名、大阪で1名、東京で1名残っております。被告側専門家証人の証人尋問の段階が終わると、さらに4地裁で合計10人の原告本人の尋問が行われ、その後、これまでの主張をまとめる書面を双方で提出したあと、一審の判決という予定になっております。私からの説明は以上でございます。ご質問がありましたらお受けいたします」

質疑応答

鈴木エイト

――文言の確認なんですけど、尋問の前にちょっと揉めていたところなんですけど、弘中先生が大阪地裁の訴訟指揮を「そんだつ?」「せんだつ?」と…

弘中弁護士「〝せんだつ〟と申し上げたと思います。潜水艦の潜に脱水の脱という字です。要するに大阪地裁で、これは示す必要がない、示すべきではないというそういう訴訟指揮があって、原告が示すことができなかったので、今回の本郷先生の尋問を奇貨として出してしまえというふうに原告が思ったと。で、原告があれを出した段階で揉めるというふうに予想していなかった、まったく考えられなくてそれを確信犯としてダメ元で出したんだろうと私は思っておりますが、結局、尋問のなかで示すことはできず、最後、結局尋問の終了後に撤回をしたというそういう顛末だったと理解しております」

――あと、今日の原告側の反対尋問の狙いとそれがうまくいったかどうかというところを含めて、その内容を鑑みて弘中先生が再主尋問で確認されたところを、一連の流れを簡単でよいので振り返っていただけますか

弘中弁護士「そうですね。尋問が終わってからすぐに進行協議があり、ここにすぐに来たので、あまり見直すことができてはいないのですけども、純粋に感想という意味では、三木教授も同じように意見書を12人分提出し本郷先生も13人分提出したということなのですが、三木先生の時の尋問と比べると、今回の福岡地裁の方の反対尋問の方が割とあまり系統だっておらず、意見書に書いてある端々であるとか、医療記録の端々を捉えて自分たちの主張が正しいように裁判官に印象付けようとしていたというふうに思いました。

大阪地裁の三木先生の尋問の時の方が、もう少しいろいろ掘り下げた質問があったように思うわけなんですけれども、今回の質問はいろいろこういうふうに書いてありますねというような質問があったわけなんですけども本郷先生が適切に御回答をされまして、それについて掘り下げる質問というのが基本的にはあまりほとんどなかったように理解いたしました」

――最初と、最後にCOI(利益相反)の件をかなり執拗に訊いてきたと思うんですけども、その狙いと、こういう訴訟でCOIを持ち出すことの問題点というか、それが原告代理人にとって他に手がなくて、そこを出してきたのかということかであるとか、こういう訴訟でCOIを持ち出すことに意味があるのか、などその辺りの雑感をお願いします

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  • GSK代理人の会見
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